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デッスンの個人日記

デッスンの個人日記

特別編 クリスマス(後)


 時刻は午後五時少し前、カナリアは荷物を抱えてギランクロスへと向かっていた。
「プレゼントも決ったし」
 視線を降ろし、両手で抱えるように持っている箱を見た。それは交換用のプレゼントだ。白い箱に緑色のリボンできれいに包装されている。
「フィールへのプレゼントも決ったし」
 フィールに贈るものは懐に隠している。手に持っているプレゼントはさすがに隠せないため、フィールに解ってしまうのは仕方ないのだが、このプレゼントだけはばれてしまっては元も子もない。
「あとは……、ドレスかぁ。おばさん間に合うかな……」
 デザインも何も一から作り始め、わずか三時間で完成させるなんて至難の技であろう。途中で様子を見に行こうとしたのだが、かえって邪魔になってしまうかもしれない為、近づいていない。
 ドレスの事はおばさんに任せて、自分は行くべき場所へ行くことにした。
 ギランクロスへ着くとカナリアは辺りを見回した。
 ドワーフ倉庫の順番待ちをしている人から、掲示板の情報を覗いている人、物件の競売をしている人まで様々だ。
 そうして、ギランクロスの名前の由来として建つオブジェの下で、探している人を見つけた。
 焦って雪で転ばぬように注意しながら、その人の元まで歩み寄り、
「お待たせ」
 声を掛けた相手は相変わらず、灰色のバンダナをつけ、茶色のロングコートに身を包んでいた。
 フィールは白い息をはきながらカナリアの方へ顔を向け、カナリアが両手で抱えているものを見て、
「プレゼントは決まったようだな。それにしても、大きいな」
「えへへ。中身は内緒だよ。フィールの方は決った?」
「ああ」
 そういって左手で持っていたものを見せる。
 見た限り、本ぐらいの大きさのプレゼントだ。
「よし、そろそろ行こうか」


 冬の日没はきわめて速い。まだ五時過ぎだと言うのに太陽の日は西に沈み始めている。
 アデンの道に設置されたガス灯には火が入り、見える家々の中からも明りが灯されている。
 クリスマス用にイルミネーションされた街を覗き、フィールとカナリアは城へ向かった。
 メインランドの中心地、アデン城。城門は何者も通さぬように固く閉ざされており、それを監視するように四人の兵士が立っている。
 その光景にカナリアは少し怯えながらも、しかしフィールは平然と兵士に近づいていった。
 ある程度の距離まで近づくと、四人のうち一人だけが一歩進み、姿勢を正し、敬礼。
「フィール様とカナリア様で御座いますね」
 なんの迷いも無しに名を呼ばれ、フィールは代表するように頷いた。
 それに対応するように兵士は堅苦しい姿勢を崩し、表情を緩め、深く頭を下ろした。
「お待ちしておりました。ささ、中へ御入り下さい」
 言葉と同時に門は大きく開かれた。
 中に入るとそこはまるで別世界であった。
 闇を消すように、所狭しと建てられた街灯に、四方に聳え立つガーディアンタワーを改造して建てられるクリスマスツリー。白い布をかけられたテーブルの数々。中でも一番目立ったのは、アデン城広場の中央、一番巨大なガーディアンタワーを大改造された巨大なクリスマスツリー。
「うわぁ~大きい~~」
 あまりの大きさに見上げてしまうほどだ。
「今年も立派なツリーだな」
 二人でその大きなクリスマスツリーを見上げていると、テーブルクロスを直していたメイドが近づき、一礼、
「パーティーの開始まで、まだ少し時間が御座います。それまで城内で御寛ぎ下さい」
 先導するように先を歩き、二人を城内へ導く。
 アデン城全体でイルミネーションが施され、眩しいくらいに輝きを放っている。
 二人の歩くペースに合わせるように城の扉は開かれ、二人を招き入れた。
 アデンの城内はケント城とは多いに違い、白い支柱に装飾された壁に天井、床には赤い絨毯が敷かれており、全城の中で一番の華やかさを持ち合わせている。
 正面には二階へ上がるための階段、左右には通路がある。
 その素晴らしさにカナリアの口は開きっぱなしだ。あ、と言うように気づいたカナリアは慌てて姿勢を直した。
 その事にフィールは軽く笑っていると、先ほど先導してくれたメイドとはまた別のメイドが二人近づき、同時に一礼、そしてまったくの同じタイミングで、
「ようこそお越し下さいました」
 角度をきっちり六十度頭を下げる姿に、カナリアもつられて頭を下げる。
 頭を下げ三秒、上げるのに三秒かけ、二人のメイドは寸分の狂いも無しに頭を上げる。
「交換用のプレゼントが御座いましたら御預かり致します」
 ニッコリと微笑み、控えめに両手を差し出すと、
「あ、はい。お、お願いします」
 カナリアの方がぎこちない動きで両手に持っていた箱を右側に立つメイドに手渡す。フィールも懐からノートぐらいの大きさの箱を取り出し、左側のメイドに手渡した。
 しっかりと受け取った事を確認すると、また別のメイドが二人現れるのを見てフィールは、一体何人メイドが居るんだよ、と心の中で呟いた。
「確かに御預かり致しました」
 再び寸分の狂いも無しに放たれる言葉。荷物を持ち行ってしまう足の幅まで一緒なことに、もしかしたら人形ではないかと疑ってしまうほどだ。
 残るのは入れ替わりのように現れたメイド二人、そして、
「では、フィール様は此方へどうぞ」
 左のメイドが向ける手の先は左へ、
「カナリア様は此方へ」
 右のメイドが向ける手の先は右へ、どうやら男女で待合室が異なるようだ。
「それじゃカナリア、また後でな」
 そう言って、フィールは左の通路へ進んでいった。
 真っ直ぐ伸びる通路の先を先導するようにメイドが静かに歩く。
 等間隔で置かれているランタンのおかげで、明るく照らされている。
 少し歩くとメイドは扉の前に立ち止まり、
「御時間になりましたら御呼びに参ります。それまで皆様と御待ち下さい」
 一礼して扉をゆっくりと開けた。
 扉をくぐり、中に入ると中は以外に広く、そこで多くの人々が居るのを確認した。
「お、遅いぞフィール」
 こちらが気づく前に声をかけてきたのはシグザだ。ただし、いつものような簡素な格好ではなく、今は黒のタキシードに身を包んでいる。
「お前がそんな格好をしていると、まるで別人だな」
「はっはっは、確かにそうかもな。ほら、お前も早く着替えちまえ」
 シグザが向けた先には扉があった。扉の上には更衣室と書かれたプレートがある。
「そうだな」
 フィールはタキシードと言うものはあまり好きではなかった。理由としては動きづらいから、と簡単な理由だ。それでもここはパーティーの場。そうも言っていられないのが現状なのだ。
 扉の近くにはまたメイドが立っており、その傍には数多くのタキシードが並べられている。見ての通り、衣装は持参しなくても借りる事ができるのだ。
 フィールは自分のサイズをメイドに伝え、すぐに衣装が渡された。
 それを受け取り、更衣室の扉を潜った。


 フィールと別れ、右側の通路を進むカナリアも部屋に招き入れられた。そこは待合室というよりも、衣装部屋と言った方が適切であった。
 所狭しと並べられる鏡の前には衣装を直す者や、化粧をしている女性がいる。
 このような所へ入るのが始めてであるカナリアは、どうすればいいのか解らずにいると、
「お、来た来た。カナリア~、こっちこっち~」
 見れば、奥の方から何人か集まった人の中から青のドレスに身を包んだ女性が手を振っている。
 誰だろ? と思って近づいて見ると、スカート部分を膝までと、華やかな青のショートドレスに身を包んだケント城の姫君、ユウだった。他にもサクラや、マリア、フローラにヴァイオレット、エルたちが集まっている。
 普段はあまりドレス姿など見たこと無いため一瞬誰が誰か、解らなかったのだが、近づくまで気づかなかった。
 しかも、彼女が立っている背には色とりどりで様々なドレスが並んでいることにも。
 ユウは多くのドレスの前で立ち、
「こんにちは。カナリアはどれにする? この黄色いのとかどうかな?」
 並んでいるドレスから肩部分を大きく露出している黄色のミディアムドレスを手にとって見せる様にかざしている。
「わたしはこっちの青いのが似合いそうな気がするけど?」
 そういって、少々派手な青のパーティードレスを手に取るのは、左腰辺りから真下に開きを見せるピンクよりも白に近いチャイナドレスに身を包んだサクラだ。
「あら、カナリアさんはこっちの黄緑のドレスが似合うと思いますよ?」
 派手さよりもデザインを強調されたパーティードレスを手に持つのは白のロングドレスを着たマリア。
「皆さんセンスありませんわねェ。やっぱこっちの黒いのとかお似合いじゃありませんか」
 少し嫌味を混ぜながら言うのは、胸の谷間部分を見せるように開いた赤のストレッチドレスに身を包んだヴァイオレット。
「どれも似合いそうですねぇ」
 と、ピンクのショートドレスを着ている相変わらずマイペースのエル。
 それぞれ様々なドレスを片手に言葉を飛ばしている。
「う~ん。こっちのピンクとかでもなかなか良さそうね」
 などと言いながら、ユウたちはかけられているドレスの中から一つを手にとっては戻し、また一つ手にとっては戻し、を繰り返している。
「ね、ねぇユウさん」
 どうすれば良いのか解らず、とりあえず声を掛けてみると、
「あ、そうか。カナリアの意見も聞かないとね。何色を着たいの?」
 渙発入れずに皆の視線が一気にカナリアへ向けられた。その事でカナリアは気持ち一歩引きながら、
「あ、いや、そうじゃなくて……、衣装って、借りれるの?」
「あれ? 言ってませんでしたっけ?」
 左手を頬に当て、あららと言った感じでマリアが反応するが、あまり困った様子ではない。
「聞いてないよぉ」
 抗議の声を上げるが、ユウは、うんうん、と首を軽く縦に振り、
「そっかそっか、それなら今聞いたよね。よし、それじゃ改めて、何色着たい?」
 まったくもって話しは進んでいないような気もするが、
「あ、私のは――」
 と、言おうとした時、
「失礼しますカナリア様」
 突然横から名を呼ばれ、何かと思って振り向くと、目の前には大きな袋で視界が塞がれた。
 一歩下がって見てみると、メイドが大きな袋を持っている。
「ギランのハーバード氏からの届け物を御持ちしました」
「あ、ありがと」
 差し出された袋を受け取り、その上にはメッセージカードが添えられていた。
「え? 何々? ハーバードさんからのプレゼント?」
 横からユウが興味津々といった感じで覗き込んでくる。
「えっと、多分ドレスだと思う」
 そのことに周りに居る全員が驚きの声を上げるが、カナリアは無視した。
 添えられているメッセージカードを開くと、そこには女性の字で
『何とか間に合ったよ。今までで最高の出来栄えだからね。がんばって』
 と書かれている。そして一番下には、『シルト』と名前が書かれている。
「おばさんの名前、シルトっていうんだ」
 出会って結構経つのだが、実の所カナリアはおばさんの名前を知らなかったのだ。
 心の中で感謝の言葉を言いながら、視線をカードから袋へと移し、ゆっくりと封を開いた。中から顔を出したのは純白のドレスだ。
 それを覗き込んだユウは詰まらなさそうに呟き、
「なんだぁ。もう着る物決ってたのかぁ。残念」
 どうやらユウはカナリアのドレスを決めるのを楽しみにしていたようだ。
「あはは、ごめんねユウ」
 人の楽しみを取ってしまったことに少し悪気を感じるが、ユウはすぐに表情を笑顔に戻し、
「着る物が決ってるなら早く着替えよ。選ぶ時間が省かれたのなら、その分化粧の時間に回すから」
 残念そうな表情を一転させ、エル以外の全員がカナリアを囲むように並び、不適な笑みを浮かべている。
 そうしてカナリアは心の中で願った。
 帰りたい、と。


 鐘の音が夜の六時を告げる音と共にアデン城広場では活気に溢れかえった。
 アデン城の二階右側のテラスからは一人のタキシードを着た男と少々控えめのパーティードレスに身を包んだ女性が姿を現した。
 そして、男は大きく息を吸い、叫んだ。
「レディーース アーンド ジェントルマェン! さぁ今宵は素晴らしきクリスマスイブ! さぁパーティーの始まりだ! パーティーの司会を務めます。わたくしヘレンと」
「エレナが」
『お届け致しまーーっす!!』
 二人が声を合わせて叫ぶと、広場にいる人々から歓喜の叫びが放たれる。その叫びにも負けじと、ヘレンは再度大きく息を吸い、
「さぁ最初のプログラムは、先の騒乱で大活躍の我らがヒーローの御入場だぁ!」
 ヘレンの叫びと共に、必要最低限の明りだけを残して照明が落された。
 辺りが静まり返るのを待ち、広場の脇に構えていた音楽隊の勇ましいBGMと共に、照明魔法ライトを工夫してスポットライトの様にして、アデン城の扉が照らされた。
 その扉は開け放たれ、中から白い服装にマントを着けた男が現れ、
「最初に登場致しますのは、先の騒乱でその持ち前のカリスマ性を爆発させたケント城主、ディル・ハーゲイス!」
 ヘレンが叫ぶと、静まり返っていた一帯から再び歓喜の嵐が巻き起こった。
 スポットライトに照らされ、少し気恥ずかしさを感じながらもディルは手を振って、アデン城の前に設置されているステージの上を歩く。
「続いての登場は多くの物資を提供してくださったアデン城主、アビス・イビルゲート!」
 ディルと同じようにしてスポットライトに照らされ、手を振りながら堂々とした感じで、アビスはステージの上を歩いていく。
「さぁじゃんじゃん行きましょうか。続いて、どんな敵にも先陣を切って大活躍! ケント城の総隊長、シグザ!」
 いぇ~~~い、と叫びながらステージの上を歩く姿に、広場に居たサクラが恥ずかしそうに手を額に置いた。
「そして、隠された力が大活躍、フィール!」
 登場するフィールは、なんでこんなことを、とぶつぶつ言いながらステージを進んでいく。
「シグザと友に先陣を切って進まれた、アデン城総隊長、シャル・ノースウィンド!」
 シャルは普段通りの白い鎧に身を包み、余り興味がないのか、平然としたまま、ステージの上を進む。
「さぁラストはダークエルフの長老、ブルディカ!」
 自分は場違いなのではないかといった表情を浮かべながら、皆に続き進む。
 ステージの右側横一列に並び終えるのを確認した後、ヘレンに向けていたスポットライトは隣りのエレナに移り、
「続きまして、私たちのヒロインの入場です!」
 エレナの叫びで、勇ましいBGMが一度止まり、優しいBGMへと変わった。
「青きドレスに身を包み、青き空を届に来ました。ギラン城の姫君、フローラ・オーエンス!」
 男たちと同じように、スポットライトに照らされ中から出てきたのは水色を主体としたベアトップ型のマーメイドドレスだ。さすがに姫君ということだけはあり、堂々とした足取りで軽く手を振りながらステージの上を歩く。
 観客と化している広場の男性人から、口笛など拍手が巻き起こるが、すこし経つとすぐに止み、
「お次は、四賢者の一人であり、若き聖女! マリア・パプリオン!」
 白のロングドレスを身に纏い、流れるような歩みと微笑でステージを歩く姿に、広場の男たちから拍手喝采の大歓声の嵐。
 それらが止まるのを待つこともせずにエレナが続けて叫ぶ。
「火を操り、さきの騒乱で力を示した四賢者の一人! バイオレット・ヴァラカス!」
 スポットライトに映えるように現れ、更にはその開かれた胸の谷間を強調するかのようにポーズをとるが、大半……、否、男全員の視線はマリアに注がれている。
 そのことにポーズをとりながら右の眉をピクリと動かした瞬間、広場の中心に業火の炎球が落された。
「はっはっは、元気ですねぇバイオレットさん」
 広場は大混乱にもかかわらず、司会者二人は楽しげに笑っている。
「さぁオオトリを勤めますのは、飛び入り参加のカナリアさんです!」
 数多くのライトに照らされ、扉から出てきたのは純白のプリンセスドレスに身を包んだカナリアだ。
 白に近い銀髪に純白のドレスがとても馴染んでいる。
 その姿に今、この場にいる全員が思った、誰よりも美しい、と。
 みんなが見惚れる中、カナリアは気恥ずかしさと、不慣れな格好のため歩きにくそうにステージの上を進んでいる。と、その時、
「あ、」
 ドレスの裾を右足で踏み、左足が前に出せずに身体が前に傾き、そのまま倒れる。
 床に激突しそうになる瞬間、カナリアは思わず目を閉じた。
 が、顔や身体に来る衝撃は無い。代わりにあるのは背中辺りを支えられている感覚。
 恐る恐る目を開けて見ると、見えたのは空だ。
 いつの間にか自分は仰向けになっている。
 倒れる時に咄嗟に身を回したのかな? と考えて見るが、自分にそんなスキルは無い事に気づく。普段通りなら顔面から床に倒れるだろう。
 少しの間だけ何が起きたのか解らずにいると、視界の右から声と共に、男性の顔が見えた。
「大丈夫か?」
 視界の横から現れたのはフィールだ。
 彼はカナリアが倒れる瞬間に走り、彼女を支えたのだ。
 カナリアは一つ頷くのを見て、フィールは身体を起こした。
「……御免ね。迷惑かけて」
「気にする事じゃない」
 と、まるで時が止まっていたかのように会場の時は進み出したとたんに歓声が鳴り響いた。
 カナリアを助けたことは良いのだが、こうなってしまうと逆に、しまった、と思ってしまう。
「ははは、とんだハッピーなアクシデントを有り難う。さっ! フィールの活躍により、入場も無事済みましたし、アビス・イビルゲートから御言葉を頂きましょう。それではアビスさんお願いします」
 スポットライトが全てアビスに注がれ、会場には最低限の光が灯る。
 アビスは一度咳払いをして、大きく息を吸った。
「今年も素晴らしきクリスマスを迎える事が出来、皆に感謝の言葉を述べよう。私からはこのような事しか出来ぬが、今、この時だけでも良い、戦いを忘れ、存分に楽しんでいってくれ!」
 右手で拳を作り、振り上げれば歓喜の声が上がる。そうして皆が片手にグラスを構え、
『メリークリスマス!!』
 辺りに甲高い音が響いた。


 ようやくオープニングセレモニーが終わり、壇上から開放さ、フィールは壇上から広場へと降りた。
 ……やっと開放された。
 一息吐きながら肩を回す。
 タキシードと言うものは動きにくいし、肩もこりやすく困るものだ。
 首に巻かれたネクタイを少し解きながら、まずは飲み物を得ようと辺りを見渡すと、
「待ってよフィール」
 突然上から声を掛けられた。
 振り向けば、肩ぐらいの高さの壇上にドレス姿のカナリアが座っている。
「もぉ、さっさと行っちゃうんだから」
 少々不貞腐れたような表情を見せながら、ソッポを向いてしまう。
 そこでフィールはカナリアの姿を改めてみた。
 先ほどはスポットライトに照らされ輝いていたが、今でも十分に輝いて見えると思う。純白のドレスの所々には金の糸で刺繍が施され、目立たぬように控えめに備え付けられているアクセサリーが美しさを引き立てている。
 子供のころから一緒に居たが、ここまで綺麗に飾られたカナリアを見るのは初めてだった。
 まさに、見惚れる、という言葉が当てはまる。
 ソッポを向いていた顔が再びフィールに向けられ、
「ちょっと訊いてるの?」
 その言葉にフィールは現実に引き戻されたような感覚を得た。
「……ああ、訊いてるよ」
 何故か見惚れていたことを覚られたくは無く、視線を少し外しながら、
「解ったから。ほら、さっさと降りて来いよ」
 言って、右手を差し出す。
 カナリアも少し戸惑いながらも頷き、フィールの右手に左手を乗せ、壇上から飛び降りる。
 スカートの裾を靡かせながら降りる際、フィールの微妙な力加減により着地の衝撃はあまり足には伝えなかった。
 それから二人で会場を回ることにした。
 周りを見れば、ペアで居る人々も多く、集団で居る人も居る。
 ディルはフローラと、シグザはサクラと、マリアは……多くの男性に囲まれ、バイオレットはカラスと、ユウとエル、カイムとカオス、と様々と言おう。
 そうして、ようやく知り合いに挨拶を終えたところで再び司会者へスポットライトが向けられた。
「さぁ最初のイベント! プレゼント交換の御時間です!」
 知り合いに挨拶をするだけでもずいぶんと時間を食ってしまったようだ。
「ルールは例年通りと同じですが、改めて説明させていただきます」
 ヘレンとエレナが交互に叫ぶ。
「ルールは簡単」
「みんなで大きな円を作り」
「音楽に合わせてプレゼントを回していくというゲームです」
「そうして音楽が終わった時に持っていたプレゼントが」
『あなたへの贈り物!』
 最後だけ声が合わせられ、広場にはメイドが忙しなく走る。
「それでは参加者は円を作るようにお並びください」
 そうは言うものの、今ここに居るパーティーの参加者は五百を軽く超える。
 そうして作られる円は、丸というより、ぐちゃぐちゃの四角だ。
 並び終えれば、一人ひとりにランダム的にプレゼントが一先ず配られる。
 今手に持つプレゼントは白い箱に水色のリボンで縛られている。
「さぁ皆さん準備は宜しいですね?」
「それでは……」
『ミュージックスタート!』
 音楽隊の演奏により、プレゼント交換は始まった。
 最初はぎこちなく動き出したプレゼントの流れも、音楽に合わせれば次第に効率よく回りだす。
 ちなみに、流される音楽は誰もが知っているクリスマスソングメドレーだ。
 プレゼントを流す作業と共に歌う人も少なくない。
 そうして、名残惜しそうに音楽は終わりを迎えた。
 皆大小の箱を抱える中、フィールの手元には、
「……俺のはやけに小さい箱だな」
 フィールが手に持っていたもの、それは両手で包めてしまうほどの小さな箱だ。
 一方、隣に居るカナリアの手元には、
「私のは普通ぐらいの大きさだね」
 片手で抱えられるぐらいのまずまずの大きさの箱。
「まぁ、箱が大きかろうと小さかろうと、入っているものが問題だけどな」
 だから開けてみた。
 まず、カナリアの箱から顔を出したのは、
「あ、クリスマスケーキだ」
 真っ白な生クリームの上に、お菓子でできた家やサンタ、トナカイが乗っているイチゴのショートケーキだ。
「おいしそぉ。後で一緒に食べよ」
 その返事を微笑で返し、自分のプレゼントを開けてみると、
「……ソックス?」
 中に入っていたものは緑色の靴下だ。
「あ~、そういえばサンタの贈り物は靴下に入れるんだっけなぁ」
 いったいこんな夢見がちな人は誰なのだろうか、と考えるが、たまにはこんな夢もいいだろう、と思えてしまうほどだ。
「あ、いいなぁ」
 顔を覗かせて羨ましそうな視線を送ってくるが、どこがそれほどなのかよく解らなかった。
 しばらくして、カナリアが思い出したように、
「そういえば、フィールは何を入れたの?」
「ん? 俺は、歴史書を入れた」
 と、言った時、会場のどこからか、
「誰だよ! 歴史書とかクリスマスに関係ないのを入れたのは!」
 シグザの叫び声があがった。
 フィールはそれを無視して、
「カナリアは何を入れたんだ?」
「わたしは熊のぬいぐるみを入れたんだ」
 見れば視界の端でサクラが熊のぬいぐるみを抱いてるのが目に入った。
 そのことに微笑していると、 
「見ろフィール! 俺のはかなり大きいぞ!」
 視界の向こうから両手では抱えきれないほどの大きなプレゼントを持ったゾルバが現れた。
「自慢はいいから開けてみろよ」
「そう敬うな。これだけ大きいんだ。何が入って―――」
 ゾルバの言葉はそれ以上続かなかった。
 ゾルバの受け取った巨大な箱の蓋を開けた瞬間、何かが飛び出る音と共に何かが飛び出たのだ。飛び出したものはそのまま天へと突き進み、爆音が鳴り響いた。
 爆心から花を開くように火花が飛び散る。それは、
「花火か」
 それから続くようにいくつかのプレゼントの中身から、会場のあちこちから花火が撃ち上がり、夜空に花を咲かせている。
 そうしてプレゼント交換は急遽、花火大会へと姿を変えた。
 そのあとは自由参加のイベントが控えている。
 豪華商品を取り揃えたビンゴ大会や、クイズ大会。
 ダンスやカラオケと多種多彩だ。
 いくつかのイベントを楽しみ、思い出したかのようにフィールは懐から懐中時計を取り出した。
 時刻を確認するや否や、突然慌てた様子で、
「カナリアそろそろ時間だ」
「え?」
 有無を言う前にカナリアの手を握り走り出した。
「ちょ、ちょっとどこへ行くのよ」
 先を走るフィールは人の壁を掻き分けながら一瞬だけ振り向くと、
「教会だよ」
 一瞬何を言ってるのか解らなかったが、
「ええ!?」
 文字通り、カナリアは驚いた。


 アデンの東南。住宅地に囲まれるようにあるのは、屋根の上に十字架を建てた建物。教会がある。
 この教会は宗教的に建てられた建物よりも、結婚式場として多いに活用されるのだ。
 そこに、今、フィールとカナリアは立っている。
 教会を目の前にしてカナリアは改めて自分たちの格好を見た。
 フィールは、黒のタキシードに身を包み、自分の姿は純白のドレスを着ている。
 フィールの格好は普通と見ても、どこかだどう見ても自分の姿はウェディングドレスである。
(きょ、教会っていきなり過ぎだよフィール~。でもフィールがそんな事考えたなんて嬉しい~)
「ふぅ、間に合ったか。ほら、入るぞ」
(あ~まだ心の準備が~~)
 扉を開け、中に入る。
 中は白を主体として華やかに飾られている。
 クリスマス用にイルミネーションされ、正面には教壇、その手前には左右にいくつか並べられた椅子、教壇の上にはキレイに飾られたステンドグラス。そして、教壇の上には、神父と、シスターたち。
 椅子には多くの人が座っており、
「ほら、カナリアも座れよ」
 フィールも空いている席に腰を下ろしていた。
「……え?」
 立っているのは自分だけ。
 急いで身を隠すようにフィールの横に腰をおろし、静かな声で、
「ちょ、ちょっとどうい―――」
 ことなの? と、言おうとしたが、
「シー、静かに」
 フィールの言葉で遮られた。
 教会で騒ぐのはマナー違反。仕方なく口を閉ざし、壇上に視線を向ける。
 すると、シスターたちの中から一人が一歩前に出る。
 そのシスターには見覚えがあった。
「マリア……さん?」
 普段とは違う、黒を主体とした修道服に身を包んだマリアが深くお辞儀、しっかりと時間をかけて顔を上げ、
「今夜はお集まり頂き誠に有り難う御座います。この日の為に練習した歌をお楽しみ下さい」
 マリアの言葉と共に、シスター全員で丁寧なお辞儀をすれば教壇の脇に置かれているオルガンから伴奏が流れ出す。
 オルガンから流れる曲は、聖者の詩、清しこの夜。


 Silent night Holy night /静かな夜よ 清し夜よ
 All'sasleep, one sole light, /全てが澄み 安らかなる中
 Just the faithful and holy pair, /誠実なる二人の聖者が
 Lovely boy-child with curly hair, /巻き髪を頂く美しき男の子を見守る
 Sleep in heavenly peace /眠り給う ゆめ安く
 Sleep in heavenly peace /眠り給う ゆめ安く――

 Silent night Holy night /静かな夜よ 清し夜よ
 God's Son laughs, o how bright /神の子は笑う 何と明るく
 Love fromyour holy lips shines clear, /貴方の聖なる唇から慈しみが輝き透き通る
 As the dawn of salvation draws near, /救いの朝 夜明けが近づくにつれて
 Jesus, Lord, with your birth /神の子 我が主よ 貴方の誕生とともに
 Jesus, Lord, with your birth /神の子 我が主よ 貴方の誕生とともに――

 Silent night Holy night /静かな夜よ 清し夜よ
 Brought the world peace tonight, /今宵 世界に平和がもたされる
 From the heavens' golden height /天上 その気高き位置から
 Shows the grace of His holy might /天の聖意の偉大さを見せよ
 Jesus, as man on this earth /神の子は 人としてこの世へ光臨する
 Jesus, as man on this earth /神の子は 人としてこの世へ光臨する――

 Silent night Holy night /静かな夜よ 清し夜よ
 Where today all the might /今日ここで我らが見たものは
 Of His fatherly love us graced /神の 父なる慈しみの力
 And then Jesus, as brother embraced. /そして神の子は 我らの兄弟とする
 All the peoples on earth /世にある全ての者達を
 All the peoples on earth /世にある全ての者達を――

 Silent night Holy night /静かな夜よ 清し夜よ
 Long we hoped that He might, /我らははかねてより彼の力を望んでいた
 As our Lord, free us of wrath, /我らの主として 怒りからの解放を
 Since times of our father He hath /我らが父の時代からずっと
 Promised to all mankind /人の全てを許すと約束したことを
 Promised to all mankind /人の全てを許すと約束したことを――

 Silent night Holy night /静かな夜よ 清し夜よ
 Sheperds first see the sight /牧人たる者が初めにこの光景を目にする
 Told by angelic Alleuja, /それは天使の歌声 礼賛によって語られる
 Sounding everywhere, both near and far/近く 遠く どこまでも響く声で
 "Christ the Savior is here" /「救い手たる神の子はここの在られる」
 "Christ the Savior is here" /「救い手たる神の子はここの在られる――」



 教会を出た二人はアデンの街を歩いている。
「いい歌声だったね」
 アデン城の前を通り、フィールは先へ進む。
「あれ? フィール、どこへ向かっているの?」
 てっきり城へ戻るのかと思っていたカナリアは、城の前を通り過ぎるフィールに問いて見るが、フィールは首だけを向けて、
「とっておきな場所」
 と、答えるのみ。再び前を向いて歩き出すため、カナリアは小走りでフィールに追い付き、並んで歩く。
 フィールが向かう方向は北。アデンの街は余り詳しくないカナリアはその先に何があるのかは知らない。
 アデン城を通り、西の広場、ティンプキンのドワーフ倉庫を通り、さらに北へ向かっていく。
 とうとうアデンの街を囲む城壁へと辿り着いてしまった。
「この先にあるのは……」
 アデンの街の北部にあるのは港だ。
 フィールはを通って港へ行ってしまう。
 こんなところに何があるのかな? と考えて見るが、何も思い付かない。仕方なくフィールの後を追っていくと、とある建物へ向かっているのが解った。それは、
「……灯台?」
 港に必ずと言っていいほど立っている灯台だ。
 見上げれば高さ三十メートルになる立派な灯台。
 視線を上から下へ降ろし、フィール止まる気配も見せずに灯台の扉に手を掛けた。
 もともと鍵は付いていないらしく、木でできた扉は簡単に開け、フィールが中へと入っていった。
「待ってよ」
 こんな所で置いて行かれるのは心細い。後を追って扉をくぐると、中はランタンで意外と明るかった。理由は、
「ほら、早く登ってこいよ」
 螺旋状になっている階段を先に登るフィールがキャンドルを持ち、ランタンに火を灯しているからだ。
 ドレスの裾を階段で踏まないように少し持ち上げ、フィールの後を追った。
 ぐるぐると目が回りそうな階段を登り、着いたのは頂上。
 少々息を切らせながらも、外に出てみると、
「うわぁ~」
 まさに絶景だった。
 家々よりも、城壁よりも高く建つ灯台からの景色はアデンを全貌できるのだ。街灯が淡い光を放ち、お城は明るいほどに照らされ、空には数え切れないほどの星たちが輝いている。
「もしかしてフィール今日はずっとこれを探して?」
「ま、まぁな」
 恥ずかしそうに顔を背けてしまう。
 そのことに、新たな部分を知ったような気がして少し嬉しくなる。
「ありがと」
 そうして再び街へと視線を向ける。
 街は温かい空気に包まれていた。
 笑、喜、楽、愛、すべてが街を包み込んでいる。
 そんな時、ある声が聞こえた。
 耳をすませば聞こえてくる。
 人々が歌を運び、伝え、まるで街全体に、世界全土に響くように歌われる聖者詩、清しこの夜、が、


 Silent night Holy night /静かな夜よ 清し夜よ
 All'sasleep, one sole light, /全てが澄み 安らかなる中
 Just the faithful and holy pair, /誠実なる二人の聖者が
 Lovely boy-child with curly hair, /巻き髪を頂く美しき男の子を見守る
 Sleep in heavenly peace /眠り給う ゆめ安く
 Sleep in heavenly peace /眠り給う ゆめ安く――


 詩を耳にしながらフィールはある事に気づいた。
 空に輝いていた星たちがいつの間にか光を失っている事に。
 何故? と思い空を見上げれば厚い雲が星たちを遮っているのだと解る。
 そして、
「カナリア見てみろよ」
 フィールが指を刺す先、そこには白い物が舞い降りて来る。空から降りてくるものは、天からの贈り物。
「雪だぁ」
 始めは少ししか見られないが、数は時間と共に少しづつ増えていく。
「ホワイトクリスマスかぁ」


 Silent night Holy night /静かな夜よ 清し夜よ
 God's Son laughs, o how bright /神の子は笑う 何と明るく
 Love fromyour holy lips shines clear, /貴方の聖なる唇から慈しみが輝き透き通る
 As the dawn of salvation draws near, /救いの朝 夜明けが近づくにつれて
 Jesus, Lord, with your birth /神の子 我が主よ 貴方の誕生とともに
 Jesus, Lord, with your birth /神の子 我が主よ 貴方の誕生とともに――


 フィールは懐に手を入れ、名を呼ぶ。
「カナリア」
「ん?」
 空を見上げていたカナリアが視線を降ろし、フィールを見る。
「Merry X'mas」
 懐から取り出した白い箱をカナリアに差し出す。


 Silent night Holy night /静かな夜よ 清し夜よ
 Brought the world peace tonight, /今宵 世界に平和がもたされる
 From the heavens' golden height /天上 その気高き位置から
 Shows the grace of His holy might /天の聖意の偉大さを見せよ
 Jesus, as man on this earth /神の子は 人としてこの世へ光臨する
 Jesus, as man on this earth /神の子は 人としてこの世へ光臨する――


 カナリアは渡された長方形の白い箱からフィールへと視線を戻し、
「俺からのクリスマスプレゼント」
「うわ~。開けてみても?」
「もちろん」
 白い箱には包装はされておらず、蓋を開けるだけとなっている。
 だから開けた。
 中に入っているのは、


 Silent night Holy night /静かな夜よ 清し夜よ
 Where today all the might /今日ここで我らが見たものは
 Of His fatherly love us graced /神の 父なる慈しみの力
 And then Jesus, as brother embraced. /そして神の子は 我らの兄弟とする
 All the peoples on earth /世にある全ての者達を
 All the peoples on earth /世にある全ての者達を――


「うわぁ。ネックレスだ」
 赤い布の中央に固定され、輝く銀のチェーンの先端には小指ほどの大きさの少し白みがかった物が輝いている。
「この先端についてるのは……ダイヤ?」
 手にとって覗いて見ればまったくの穢れを持たず輝いている。
「ああ、この前手に入れたダイヤを鑑定して見たら最高級だったんだ。それを加工して作ったんだ」
 ダイヤの美しさに見惚れてしまっていると、
「貸してみな。着けてやるよ」
 カナリアからネックレスを受け取り、チャ―ンのホックを外す。そして、カナリアに腕を回しながら後ろへと回り込み、ホックを繋ぎ合わせる。
 カナリアは嬉しそうに身を回す。
 カナリアの胸元でダイヤは白く、ドレスと共によく映えている。
「気に入ってくれたか?」
「うん! ありがとうフィール」


 Silent night Holy night /静かな夜よ 清し夜よ
 Long we hoped that He might, /我らははかねてより彼の力を望んでいた
 As our Lord, free us of wrath, /我らの主として 怒りからの解放を
 Since times of our father He hath /我らが父の時代からずっと
 Promised to all mankind /人の全てを許すと約束したことを
 Promised to all mankind /人の全てを許すと約束したことを――


「それじゃぁ……私からも」
 そうして、ドレスの間から小さな箱を取り出し手渡した。
「お? 何が入ってるんだ?」
 箱を開けようとする手をカナリアが制し、
「実はね、もう一つあるの」
 手を伸ばせば、届く距離にあの人がいる。
 名を呼べば、振り向いてくれるあの人がいる。
 共に居たいと願えば、すぐに隣りに居てくれる。
 もっと近くに居たい願い、共に歩みたいと望む。
 踵を上げ、背を伸ばし、もっと近くに居たいと願い、
「Merry X'mas」
 そうして、唇を重ねた。


 Silent night Holy night /静かな夜よ 清し夜よ
 Sheperds first see the sight /牧人たる者が初めにこの光景を目にする
 Told by angelic Alleuja, /それは天使の歌声 礼賛によって語られる
 Sounding everywhere, both near and far/近く 遠く どこまでも響く声で
 "Christ the Savior is here" /「救い手たる神の子はここの在られる」
 "Christ the Savior is here" /「救い手たる神の子はここの在られる――」


 今宵は、素晴らしきクリスマス

 みんなの元にも、サンタが舞い降りることを―――


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